世界で初めて勃起不全を適応症とする医薬品として発売されたバイアグラは青いひし形の錠剤が特徴的です。
その錠剤タイプのバイアグラが日本で販売が開始されてから10年あまりが経過した2016年10月、この医薬品を製造しているメーカーが新しいタイプのバイアグラを発売しました。
それがバイアグラODフィルムと呼ばれる製品です。

バイアグラODフィルムの商品名に含まれているODはOral Disintegrationの略称で、口腔内で唾液の働きによって薬剤が溶解あるいは崩壊される性質を指します。
厚さが0.2ミリの長方形の可食フィルム内にはバイアグラの有効成分であるシルデナフィルが25または50ミリグラム封入されています。
口の中で唾液に触れることでフィルムが溶けはじめ、やがて薬剤の成分が体内に吸収されていきます。
あとの作用機序は錠剤タイプのバイアグラと一緒で、しばらく経てば体内でホスホジエステラーゼ5の活動を妨げる効果があらわれて、薬の効果が持続している間は健康な人と同じように勃起が継続するようになります。
人によっては頭痛や消化不良、動悸、ほてりといった副作用も起こり得るのも錠剤タイプと一緒です。

ODフィルムタイプの大きな特徴は携帯性に優れていることです。
2016年9月にバイアグラを販売する製薬メーカーが公表した、勃起不全治療におけるコミュニケーションのとり方についてのアンケート調査があります。
勃起不全治療薬を服用した経験がある人の約6割がかばんに薬をいくつか入れて持ち歩いていることが明らかになりました。
錠剤タイプだと、カバンに入れて持ち歩いているうちに包装シートが破れて錠剤が飛び出すおそれがあります。
アルミ包装に封入されているODフィルムであれば、小さい紙をしまう場合と同じようにカバンに保管しておくことができます。
外で性交する機会があってもいいように常にバイアグラを持ち歩くようにしている人は、ODフィルムタイプのものを購入すると良いでしょう。

錠剤とODフィルムの違いはある?

バイアグラの錠剤とODフィルムでは、有効成分のシルデナフィルの含有量や服用方法、および飲み続けることによって起こり得る副作用の症状については両方ともまったく一緒です。
ただし形状と色の違いは大きく、形状についてはODフィルムは長辺と短辺がどちらも錠剤より長くなっています。
厚さは錠剤よりずっと薄くなっており、色については錠剤が青色になっているの対して、ODフィルムはうすい赤色になっています。

錠剤とODフィルムの最も大きな違いは、薬剤の飲みやすさといえます。
錠剤タイプだと水やぬるま湯と一緒に飲み込まなければならないのに対して、ODフィルムは唾液に触れればすぐに薬剤が溶け出すようにつくられているため、水が無くてもそのまま服用することができます。
ものを飲み込む力が衰えている高齢者は、錠剤だと喉につまらせる事故を起こすおそれがありますが、ODフィルムだと安全に服用を続けることができます。

錠剤とODフィルムでは添加物にも違いがあります。
錠剤タイプのバイアグラには、結晶セルロースや無水リン酸水素、酸化チタン、乳糖水和物、青色2号などといった添加物が含まれています。
このうちODフィルムタイプにも含まれている添加物は酸化チタンだけです。
ODフィルムタイプではこの他にもクロスポビドンやスクラロース、三二酸化鉄、マクロゴール400などが添加物として用いられています。

もし、バイアグラODフィルムを使用するのであれば、保存について十分に注意が必要です。
錠剤タイプのバイアグラは、誤ってシートから取り出してしまったとしても、高温多湿の場所や日光が当たる場所を避ければ1年程度は保管しておくことができます。
しかし、ODフィルムは開封して空気に触れた時点で溶解および崩壊が始まってしまうため、飲む直前までは包装を解かないようにしなければなりません。